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★1週間後の海馬グリコーゲン量を高める運動・栄養戦略を開発【プレスリリース】

―認知機能を標的としたスポーツコンディショニング確立に光明―

筑波大学体育系ARIHHPの征矢英昭教授、麻見直美准教授、松井 崇助教、征矢茉莉子院生らの研究グループは、運動と高糖質食を組み合わせることで筋グリコーゲン量を高め、持久性能力向上に資するグリコーゲンローディング(Glycogen Loading;GL)が、筋だけでなく、学習・記憶能(認知機能)を担う脳部位である海馬のグリコーゲン量をも増加させることを初めて明らかにしました。
 

 
GLは持久性アスリートのレース前1週間のコンディショニング法として古くから普及しており、筋内貯蔵エネルギーであるグリコーゲン量を増加させ、持久性能力を高めます。我々は、海馬でもアストロサイト(神経を取り囲むグリア細胞の一種)に貯蔵されるグリコーゲン(海馬グリコーゲン)が、認知機能を高める長期間の運動トレーニングで増加することを報告(2012)。そして今回は、1週間という短期間のGLが長期トレーニングと同様に海馬グリコーゲン量を高め、その効果は高糖質食ではなく、「1週間前のキツめの運動」によるものであったことから、「海馬GL」として新たに提案しました。
 
今後、海馬GLは、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けたアスリートのハイパフォーマンスはもちろん、受験生や社会人の認知パフォーマンス発揮を助ける新たな運動・栄養戦略として役立つことが期待されます。
 

研究成果のポイント

1. 運動と高糖質食を組み合わせたスポーツコンディショニングである「グリコーゲンローディング(Glycogen Loading;GL)」は1週間で筋グリコーゲン量と持久性能力を向上させるが、今回、新たに、学習・記憶を担う海馬でもグリコーゲン量を増加させる効果を発見
2. その際、このGL効果には筋グリコーゲンの増加効果とは異なり高糖質食は不要であり、「1週間前に一回だけ疲労を感じるキツめの運動」を行うことが必須条件となることが判明。海馬を標的とした新たなコンディショニングとしての「海馬GL」を提案しました。
3. この成果は、アスリートはもちろん、大事なテストやプレゼン等で高い認知パフォーマンスを発揮したい受験生や社会人に対しても有用な運動・栄養戦略としての応用が期待されます。
 
本研究成果は、Nature publishing group発行のオンライン科学誌『Scientific Reports』(リンク)に1月19日付(英国時間)で先行公開されました。
 

プレスリリース(リンク)
 
>>> PDF資料
 
2018年2月6日15:22記事の再掲載

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