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★大藏教授、薛特任助教、曹院生らによる論文がSleep Medicineに掲載されました

睡眠と身体活動は、私たちの心身の健康を支える重要な要素です。これまでの研究では、睡眠時間や運動量の多さなど量的な側面が注目されていましたが、近年、「リズムの規則性」という質的な側面への関心が高まっており、規則正しい睡眠・活動リズムは、心血管リスクの低下や死亡率の低下、さらには認知症の抑制効果のあることが報告されています。しかしながら、認知症発症前の段階、すなわち認知機能の低下を自覚したり、認知症リスクが高い集団におけるリズムの影響については、これまで十分に検討されていませんでした。

そこで本研究では、認知機能の低下を自覚し、かつ睡眠に主観的な問題を抱える45〜89歳の458人を対象に、ウェアラブルデバイスを用いて、24時間の睡眠・活動リズムを7日間にわたり連続的かつ客観的に評価しました。また、臨床的認知機能検査に加えて、血液検体からシナプス可塑性に関与する脳由来神経栄養因子(BDNF)を測定しました。

その結果、睡眠・活動リズムの規則性が高い人ほど、認知機能スコアが良好であるという明確な直線的関係が確認されました。一方、BDNFについては、睡眠・活動リズムの規則性が中程度の場合に最も高値を示し、極端に規則的または不規則な場合に低値を示す、いわゆる逆U字関係が見られました。

以上のことから、睡眠・活動リズムが規則正しいことは認知機能の維持に有益である一方で、過度に型にはまった生活は、睡眠および生活パータンの乱れに対する適応力の低下などにより、逆に健康リスクとなる可能性があることが示唆されました。

Sleep Medicine

全対象者の規則正しさ指数の分布(左)と各群における一週間の睡眠・活動リズムパターン例(右)。参加者Aの規則正しさ指数は45.56、参加者Bは60.19、参加者Cは71.41であった。

 

規則正しさ指数と認知機能との関係。不規則群(レファレンス)に比べて、睡眠規則性が正しい者は、総合的認知機能が良いことが確認された。

 


規則正しさ指数と BDNFとの逆U字型の関係。規則正しさ指数が低値から中央値付近(規則正しさ指数=60)まではBDNFの平均予測値が上昇し、その後は低下するという逆U字型の傾向が確認された。

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