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【プレスリリース】征矢教授、YASSA教授らの論文がが米国加齢学会の公式雑誌『GeroScience (IF=7.6)』に掲載されました。


       写真:運動教室の様子
 


     図:高齢期グループにおけるストループ課題中の前頭前野の神経効率の変化
左の図は、3ヶ月の運動で神経活動が効率化した脳部位を示しています。右図は、6部位の中から代表して
左DLPFCにおける神経効率の変化を示しています。

 
 
【3カ月間の軽運動は高齢者の脳活動を効率化し、実行機能を高める 】
 
ARIHHPの征矢英昭教授(専門領域:運動生化学、運動生理学、神経内分泌学)、Michael A. YASSA教授(専門領域:認知神経科学、スポーツ神経科学)らによる論文が、国際誌「GeroScience」に掲載されました。

 

定期的な運動の実践は高齢者の認知機能の維持・増進に有用です。特に、中~高強度の有酸素運動が前頭前野の担う実行機能(目標に向かって行動や意識を制御する能力)に与える効果についてエビデンスが蓄積されています。また、本研究チームはこれまでの一連の研究で、身体への負担やストレスが少ない低強度の運動でも脳は刺激され、認知機能が高まる可能性を明らかにしてきました。しかし、習慣的な低強度の有酸素運動が中高齢者の実行機能に与える効果やその脳内メカニズムの詳細は不明でした。
そこで本研究では、健常な中高齢者 (55~78歳)を3カ月間、低強度の自転車運動を週に3回行ってもらう群(運動群)と、通常の生活を送ってもらう群(対照群)にランダムに振り分け、実行機能を評価する課題の成績や、課題を実施中の前頭前野における脳活動の変化を比較しました。
その結果、対照群に比べて運動群では実行機能が向上することが明らかになりました。また、年齢の中央値で中年期(55~67歳)と高齢期(68~78歳)の2グループに分け、年齢によって運動の影響が異なるかを検討したところ、運動による実行機能向上効果は高齢期グループのみで見られ、その脳内機構として課題遂行時の前頭前野における脳活動の効率化(実行機能を評価する課題の成績を脳神経活動の量で割った値が上昇する)が起きていることが明らかになりました。
運動は身心の健康の維持増進に有益である、と分かってはいても、なかなか実践・継続することが難しいことが課題になっています。本研究の結果は、体力レベルや運動意欲の低い高齢者にとっても取り組みやすい、実行機能を高める運動プログラムの開発に寄与することが期待されます。

 

【題 名】 Mild exercise improves executive function with increasing neural efficiency in the prefrontal cortex of older adults
     (軽運動は、高齢者の前頭前野の神経効率を高めて実行機能を高める)

【著者名】 邊坰鎬*, 兵頭和樹*, 諏訪部和也, 福家健宗, Min-seong Ha, Chorphaka Damronthai, 桑水隆多, 小泉光,
      Michael A. Yassa#, 征矢英昭#
      *共同筆頭著者 # 責任著者

【掲載誌】 GeroScience
【掲載日】 2023年6月15日
【DOI】  10.1007/s11357-023-00816-3

 

筑波大学プレスリリース

 

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