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★門間助教、武田教授らが47都道府県の健康寿命と中年者の運動・スポーツとの関係について研究成果を公表

ARIHHPの門間助教、武田教授らが行った、47都道府県の健康寿命と中年者の運動・スポーツとの関係についての研究成果が「BMC Public Health」に掲載されました。

 

 

男性の健康寿命には中年期の家族や友人と一緒の運動・スポーツが関係
~全国47都道府県の地域相関研究~

【研究成果のポイント】
1.筑波大学体育系門間貴史助教、武田文教授、医学医療系 田宮菜奈子教授らの研究グループは、厚生労働省が実施した「中高年者縦断調査」のデータ(2005年時点:50~59歳、約2万名以上)を用いて、47都道府県の2005年~2010年の中年者の運動・スポーツ実施率と2010年の健康寿命との関係を分析しました。

 

2.男性では、運動・スポーツ実施率とりわけ家族や友人と一緒の実施率が健康寿命と関係を認め、家族や友人と運動・スポーツを実施する中年男性の割合が高い都道府県ほど健康寿命が長いことが明らかとなりました。一方、女性では男性
ほど明確な傾向は認められませんでした。

 

3.健康寿命の延伸(日常生活に制限のない期間の延伸)と健康格差の縮小(健康寿命の都道府県格差の縮小)にむけた対策の一つとして、特に中年男性における家族や友人との運動・スポーツ活動を推進する取り組みが有効と考えられます。

*本研究の成果は、2019年9月9日付でオンラインジャーナル「BMC Public Health」に掲載されました。
*本研究は、厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)「健康寿命及び健康格差の要因分析と健康増進対策の効果検証に関する研究」(H28―循環器等―一般―009)によって実施されました。

 

【研究内容と成果】
「中高年者縦断調査」第1回(2005年:50~59歳)~第6回(2010年:55~64歳)個票データのうち、運動・スポーツ活動に関する調査項目への回答が完全である約20,000名以上を分析対象としました。

2005年~2010年各年の (1)過去1年間の運動・スポーツ(「実施」「非実施」)、(2)「実施」者が一緒に行った相手(「一人で」「家族や友人と(同僚などを除く)」「勤め先の同僚と(元同僚を含む)」「町内会・自治会」「NPO・公益法人等の団体」の5項目)の回答を分析に用いました。

男女別に、47都道府県の2005年~2010年の各年における上記(1)(2)運動・スポーツ実施率を算出し、それらと2010年の健康寿命との関係を、年齢、家族構成、就業の有無、慢性疾患の有無を調整した重回帰分析(各都道府県で第1回調査(2005年)から各年調査の回答脱落発生率を補正した重み付き最小二乗法)により検討しました。

 

その結果、男性では、2005年~2010年すべてにおける運動・スポーツ実施率、および家族や友人と一緒の実施率が2010年の健康寿命と有意な関係を認め、家族や友人と一緒に運動・スポーツを実施する中年男性の割合が高い都道府県ほど健
康寿命が長いことが明らかとなりました。

他方、女性では、2008年の運動・スポーツ実施率が、また2006年、2008年、2010年の家族や友人と一緒の実施率が、2010年の健康寿命と有意な関係を認めるにとどまりました。

すなわち都道府県単位で見た場合、男性の健康寿命は中年者の運動・スポーツ実施、とりわけ家族や友人との実施と明らかに関係している一方、女性では男性ほど明確な傾向を認めにくく、性差があることが確認されました。

 

同研究グループによるこれまでの研究から、人と一緒の運動・スポーツ実施が中年期のメンタルヘルスおよび身体機能の保持に有効であることが認められていました。

今回、都道府県レベルでの地域相関分析から、特に男性において健康寿命と中年期の家族や友人との運動・スポーツ実施との間に明らかな関係が認められたことから、健康寿命の延長と健康格差の縮小にむけた効果的対策の一つとして、中年男性が家族や友人と運動・スポーツ活動に気軽に取り組める環境づくりの重要性が示唆されたといえます。

 

【掲載論文】
Monma T, Takeda F, Noguchi H, Takahashi H, Watanabe T, Tamiya N:
Exercise or sports in midlife and healthy life expectancy: an ecological study in all prefectures in Japan, BMC Public Health, 19(1), 1238, 2019.
DOI: 10.1186/s12889-019-7570-y
https://bmcpublichealth.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12889-019-7570-y

 

【問合わせ先】
武田 文(たけだ ふみ)
筑波大学 体育系 教授
E-mail: takeda.fumi.fe@u.tsukuba.ac.jp

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