★佐渡助教、富永院生らによる論文が掲載されました
★佐渡助教、富永院生らによる論文が掲載されました
大腰筋は腰椎に始まり、骨盤の前方を経由して大腿骨に付着する筋で、走動作では脚の前方スイングに関わる重要な筋の1つです。しかし、この筋は引き伸ばされるほど力を発揮しづらいという特性をもつため、高速疾走において股関節が大きく伸展することは力発揮に不利にはたらくとされています。しかし、従来のこうした議論は大腰筋の付着している腰椎の動きを無視したモデル下で行われてきました。佐渡助教らはこれまでの研究(Tominaga et al., J Biomech, 2025)で走速度が高いほど腰椎が大きく弯曲することを示しており、こうした動きが大腰筋の長さに影響するという仮説を立てました。
本研究では、低速~高速の走動作において腰椎の動きが大腰筋の長さに与える影響を検証するため、腰椎―骨盤―大腿骨3次元モデルを作成し、走動作中の大腰筋の長さを推定しました。その結果、腰椎の動きを考慮した場合には高い走速度で股関節が大きく伸展した場合でも大腰筋の伸長が抑えられることが判明しました。このことは高速の走動作における大腰筋の力発揮ポテンシャルの維持に寄与する可能性があります。本研究は従来無視されてきた腰椎の動きが筋の挙動に与える影響を定量的に示し、走動作における新たな機能的意義の視点を提供しました。
【題名】Effect of lumbar spine motion on psoas major length during running at different speeds
【著者名】Tempei Tominaga, Natsuki Sado
【掲載誌】International Journal of Sports Medicine
【公開日】18 October 2025
【DOI】10.1055/a-2726-4968


